アスファルト防水工事
アスファルト防水工事とは、
アスファルトルーフィング類2~4枚をアスファルトで繰り返し積 層することにより、防水層を構成する工法で、下地と防水層を全面にわたって接着する密着工法と部分的な接着とすることで下地の亀裂やムーブメントによる防水層の破断が予想される場合に採用される絶縁工法がある。
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施工前の下地の留意事項
防水施工は、下地面が十分乾燥していること、平たんであること、浮き・レイタンス・脆弱部・突起物、汚れやさび等の不純物がないことを確認してから実施する。
〇下地の勾配について
防水下地の勾配は、砂利、アスファルトコンクリート、場所打ちコンクリート、コンクリート平板類を防水層の保護とする場合は1/100から1/50とし、仕上げが塗料またはなしの場合、1/50から1/20とする。
〇防水下地の形状
排水勾配は、下地施工の時点で確保しておかなければならない。
平場のコンクリート表面は金ゴテ仕上げとし、立ち上がり部のコンクリートは打放し仕上げとする。また、立ち上がり上端、軒先部の水切りが良好であることを確認しなければならない。
〇入隅・出隅の仕上げ時の留意事項はは以下の通りです。
- アスファルト防水工法→面取り
- 合成高分子系シート防水工法→入隅は直角、出隅は面取りとする
- 改質アスファルト防水工法→同上
- 塗膜防水工法→同上
施工時の留意事項
○アスファルトの取扱について
アスファルト溶融温度の上限は、アスファルト製造所の指定温度を遵守し、物性低下を防ぐため3時間以上同一のアスファルトを使用しないようにする。
一般的なアスファルトの施工温度は一般3種アスファルトは230℃、低煙・低臭アスファルトは210℃である。
○アスファルトプライマー塗布時の留意事項
ルーフィングの張付けは、速乾性アスファルトプライマーを除き、プライマー塗布翌日に行う。雨天が予想される場合、エマルションプライマー塗布は中止する。
ルーフィング類張付け時の留意事項
○ルーフィング類張付け時の留意事項は以下の内容がテストで頻繁に出題されます。
- 重ね幅は100㎜程度とする。
- 立上り部では、ルーフィングは切断せず、平場部から連続して張り上げる。ただし、立上り部の高さが300㎜以上の場合は別々に張り付ける。別々に張り付ける場合、立上り部は平場部の後に張付ける。(砂付きストレッチルーフィングの場合、立上りを先に張り付ける)
- 立上り部は、抑え金物で固定後、アスファルト防水工事用シールで処理する。
- パラペット天馬は、表面の劣化やひび割れ対策として、塗膜防水塗布や金属製笠木威を取り付ける。
部位ごとの張付け作業留意事項は以下の内容がテストで出題されます。
- 出隅・入隅部
出隅・入隅部は、幅300㎜程度のストレッチルーフィング又は改質アスファルトシートで増張りを行う。 - ドレーン回り
幅200㎜程度のストレッチルーフィングでつばとスラブ面を張りかけてから、平場部のルーフィングを張り重ね、末端部をアスベスト防水工事用シール材で処理する。
ドレンの選定に際し、防水層の張かけ幅・塗りかけ幅100㎜を確保できるものとする。
※ドレンのつばの天端レベルはコンクリート天端から3~5㎜ほど下げ、コンクリート打設後の天端ならし、半径60㎝の範囲でドレンに向かう勾配を設ける。
アスファルト防水層保護のための押さえコンクリートと伸縮目地施工時の留意事項
○防水層保護のための押さえコンクリート施工時の留意事項
- ・保護コンクリートは、防水層施工後、絶縁シートを敷きこんでから打設する。
- 保護コンクリート厚みはこて仕上げの場合80㎜以上、タイル等の仕上げがある場合、60㎜以上とする。(特記がある場合は特記による。)
防水層保護のための伸縮目地施工時の留意事項
- 幅20㎜以上を縦横3m間隔で設ける。
立上り面・塔屋とうの際・立上り面から600㎜以内の位置に設ける。 - 保護コンクリートの下面に達するように設ける。
改質アスファルトシート防水工事
トーチ工法と常温粘着工法
1級建築施工管理技士試験では、改質アスファルトシート防水工事のトーチ工法と常温粘着工法がよく出題されます。
○トーチ工法とは、
改質アスファルトシートの裏面と下地面をトーチであぶることで、下地面とシートを密着させ防水層を形成する工法である。
トーチ工法の施工方法と留意事項は以下の通りです。
- プライマー塗布
- 2.5㎜以上の改質アスファルトシート張り(2回)
保護層塗布 - 平場部シート張付け前に出隅・入隅に200㎜各程度の増張り用シートを張付ける。
- シートの裏面と下地をトーチであぶり、改質アスファルトを溶融密着させる。
トーチ工法施工時の留意事項は以下の通りです。
- シート継ぎ目の重ね幅は100㎜以上とする。
- シートの接合部では、シートの裏面と先につけたシートの表面をトーチであぶり、改質アスファルトがはみ出すまで溶融し、十分密着させる。
- シートが2層の場合、上下の接合部が重ならないように施工する。
- 防水層立上り部での末端部は、アルミ製またはステンレス製の抑え金物を取り付け、シール重点により水密性を図る。
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○常温粘着工法とは、粘着層がついたアスファルトシートを積層して防水層を形成する工法で、部分接着型と全面接着型がある。トーチ工法と異なり火を使用しないため、煙・臭気・二酸化炭素を発生させない長所がある。施工時の留意事項は以下の通りです。
- 裏面の剥離紙をはがし、転圧ローラー等で粘着させる。
- シート相互の重ね幅は100㎜以上とし、部分接着型と全面接着型の接合部が重ならないように施工する。
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合成高分子系シート防水工事
合成高分子系シート防水工事は、不透水性の合成高分子ルーフィングシートを下地に接着剤や金具を使用して固定し、防水層とする工法である。
テストでよく問われる施工時のポイントは以下の内容です。
- 水上側のシートが水下側のシートの上になるように張り付ける。
- 出隅角の施工方法
加硫ゴム系シートの出隅は、シート張付け前に非加硫ゴム系シートで増張りを行う。
合成樹脂系シートの出隅は、シート張付け後に成形役物を張り付けてシール材で端部処理を行う。 - シート相互の接合幅は、シートの種類によって下記表の通り定められています。
合成高分子系シート相互の接合幅 シート種類 平場 立上り 加硫ゴム系 100mm 150mm エチレン酢酸ビニル樹脂系 100mm 100mm 塩化ビニル樹脂系 40mm 40mm
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- 加硫ゴム系
- 塩化ビニル樹脂系
塗膜防水工事
塗膜防水工事には、主にウレタンゴム系密着工法とウレタンゴム系絶縁工法がある。ウレタン塗膜防水工事の施工順序は以下の通りです。
- 下地の乾燥状態を確認
- ローラーばけ、毛ばけ、吹付機等でむらがないようにプライマーを均一に塗布
- 補強布・通気緩衝シートを防水材を使用して貼り付ける。(入隅、出隅、立ち上がり、ドレン廻り、その他突出部を先行施工する)
塗膜防水施工時の留意事項
- 立上がり→平場の順で防水剤を塗布する。
- 塗継ぎを行う場合、前工程と同一箇所は避け、100㎜以上の幅で施工する。
- 補強布の重ね幅は50㎜程度、通気緩衝シートの継ぎ目は突きつけとし、50mm以上の接着剤付きテープを張り付ける。
- 冬季で気温が低く、ウレタンゴム系防水材の年度が高く施工が難しい場合、トルエンやキシレンで希釈することが可能(10%未満までとする)。