CATEGORY: 防水改修工事の施工要領
工法概要
塗膜防水工事は、防水塗料を塗り重ねることにより防水層を形成する防水工事で、ウレタンゴム系材料による施工またはゴムアスファルト系材料による施工が代表的です。
防水改修工事にあたっては、もともと施工されていた既存防水層の種類よって工程が異なっており、ウレタンゴム系はP0X工法・L4X工法、ゴムアスファルト系はP1Y工法・P2Y工法に分類されています。このページではウレタンゴム系塗膜防水工法について記述しています。
材料選定について
- 塗膜材
JIS A 6021(建築用塗膜防水材)の屋根用に基づき、種類はウレタン ゴム系高伸長形、ウレタンゴム系高強度形又はゴムアスファルト系を使用することとし、立上り部は立上り用又は共用のものを使用する。
※ウレタンゴム系高強度形は、JIS K 5600-1-1(塗料一般試験方法-第1部:通則-第 1節:試験一般(条件及び方法))により、指触乾燥時間(23℃)が60 秒以内のものを使用することする。
- 絶縁用シート
屋内防水層と保護コンクリートを絶縁するために使用する絶縁用シートは特記による。特記がない場合は、屋根保護防水密着工法又は屋根保護防水絶縁工法の場合は厚さ0.15mm 以上のポリエチレンフィルム又は、ポリプロピレン、ポリエチレン等を平織りしたフラットヤーンクロス(70g/㎡程度)を使用する。
- プライマー等その他の材料
プライマー、層間接着用プライマー、補強布、接着剤、通気緩衝シート、シーリング材、仕上塗料等は、主材料のメーカー指定の製品をを使用することとする。
塗膜防水工事(ウレタンゴム系)の
工程と材料塗布量
工程と材料塗布量
ウレタンゴム系塗膜防水工事は密着工法と絶縁工法で下記の通り工程と材料の塗布量が異なります。
種別 | X-1絶縁工法 | X-2密着工法 | ||
---|---|---|---|---|
順 | 工程内容 | 塗布量(kg/㎡) | 工程内容 | 塗布量(kg/㎡) |
1 | 接着剤塗布 通気緩衝シート張り |
0,3 | プライマー塗布 | 0,2 |
2 | ウレタンゴム系高伸長型塗膜防水材塗布1層目 | 3.0 | ウレタンゴム系高伸長型塗膜防水材塗布 補強布張り | 0.3 |
3 | ウレタンゴム系高伸長型塗膜防水材塗布2層目 | 3.0 | ウレタンゴム系高伸長型塗膜防水材塗布1回目 | 2.7 立上部は1.7 |
4 | 仕上塗料塗布 | 特記又はメーカー指定による | ウレタンゴム系高伸長型塗膜防水材塗布2回目 | 2.7 立上部は1.7 |
5 | - | - | 仕上塗料塗布 | 特記又はメーカー指定による |
注記
- L4X工法で既存防水層表面に層間接着用プライマーを塗布した場合は工程1を省略する。
- 立上部は全て種別X-2 とし、工程3,4のウレタンゴム系塗膜防水材の使用量を1.7kg/㎡とする。
- ウレタンゴム系塗膜防水材塗りの1工程当たりの使用量上限は、平場は2.5kg/㎡、立上りは1.5 kg/
㎡とする。 - 絶縁工法における脱気装置の種類・設置数量は特記によることとし、特記がなければ主材
料のメーカー仕様を確認するによる。
施工における留意事項
- 既存下地処理(L4X工法の場合)
- 既存露出防水層表面上のゴミ等異物を除去後、水洗いを実施する。また、 既存塗膜防水層表面の仕上げ塗装の除去は特記により、デッキブラシ等で水洗いを実施する。
- 既存防水層の破断、穴あき箇所の浮き部分やふくれ部分は、切除後、ポリマーセメントモルタルで平滑に補修する。
- 既存防水層の経年劣化によるチョーキング部は、デッキブラシ等で水洗いを実施し、乾燥を確認後、層間接着用プライマーを塗布する。
- 設備機器架台、配管受部、パラペット、貫通パイプ回り、手すり・丸環の取付け部、塔屋出
入口部、防水層末端部等の納まり部の処理は、特記による。特記がない場合は監督職員と協議することとする。 - 防水層とルーフドレン・配管回り・和風便器との取り合い部に使用するシール材は、防水下地材に応じた方法で措置を講じる。
- 絶縁工法で既存目地を脱気に利用する場合は十分な脱気と乾燥を確認後バックアップ材を使用の上ポリウレタン系シーリング材を充てんする。
- 部分的な水はけ不良がある場合はポリマーセメントモルタルで補修する。勾配不良がみられる場合は、監督職員と協議する。
- 既存下地処理(P0X工法の場合)
- 既存下地に付着する異物等をケレンにより除去後全面をデッキブラシ等で清掃する
- 既存目地は突起部等は撤去し、アスファルト防水工事用シール材充填等を行い平滑に処理する。また、既存目地周囲の欠損部は、ポリマーセメントモルタルを充填するなどして平滑となるよう措置を講じる。
- 水はけ不良個所が部分的にある場合はポリマーセメントモルタルで補修する。
- 勾配不良が確認される場合は監督職員と協議する。
- 防水層とルーフドレン・配管回り・和風便器との取り合い部に使用するシール材は、防水下地材に応じた方法で措置を講じる。
- 立上り部等の既存保護層・防水層撤去後の既存下地の処理方法か下記のとおり実施する。(立上り部の保護層・防水層を撤去しない場合は、主材料の製造所の仕様により施工することとする。)
- 既存下地に付着している防水層残存物等はケレン・清掃を行い、プライマー等の残存物はポリマーセメントペースト等の下地調整座を塗布する。
- コンクリート面等のクラックはポリマーセメントモルタルで補修し、クラック幅が2mm以上の場合はUカットシーリング(ポリウレタン系)充填を行う。
- 既存下地の欠損部・浮き部、ぜい弱部等は撤去したうえでポリマーセメントモルタルで補修・平滑にする。脆弱部はケレン等の上、ポリマーセメントペースト等で補修する。
- 設備機器架台、配管受部、パラペット、貫通パイプ回り、手すり・丸環の取付け部、塔屋出入口部、防水層末端部等の納まり部の処理は、特記による。特記がない場合は監督職員と協議することとする。
- プライマー塗布
- 下地の十分な乾燥を確認する、
- ローラーばけ等を使用し、当日の施工範囲をむらなく塗布する。
- 下地補強
- コンクリート打ち継ぎ箇所や上記下地補修工程により実施した著しいひび割れ箇所等はW=100以上の補強布を使用し補強塗りを実施する(ただし通気緩衝シート下である場合は主材料のメーカーの仕様に従うこととする。)
- ルーフドレンや配管等の取り合い部等はW=100以上の補強布を使用し補強塗りを実施する。
- 防水材塗布
- 材料は可使時間内に使用できるよう練り混ぜ量と練り混ぜ方法を材料ごとの資料にて確認の上使用する。
- 均一に塗布するよう留意し、補強布張り作業を行う場合(X-2工法)は防水材塗布を行いながら実施する。
- 塗継ぎの重ね幅は100mm 以上、補強布の重ね幅は50mm 以上とする。
- その他
- ウレタンゴム系高強度形塗膜防水材吹付け並びに上記以外については主材料のメーカー仕様を確認の上施工する。